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夜来たる (ハヤカワ文庫SF)価格: 571円 レビュー評価:4.5 レビュー数:8 なんだか、長篇板「夜来たる」と短編集「夜来たる」のレビューが混ざってしまっている気がするのであるが、大丈夫だろうか。
シルヴァーバーグが長篇化した「夜来たる」ではなく、そのオリジナルたるアシモフ自身による短編集「夜来たる」の本だと思い、解説する。
アシモフの短編集「夜来たる」は凄い傑作集である。そもそも、この短編集は、アシモフの初期短編の中から、アンソロジーに収録されて個人短編集に収録されなかった可哀想な短編を集めたものであり、さながら、ちょっとしたアシモフの初期短編のベスト短編集のおもむきをなしているのだ。アンソロジーに収録された出来の良い短編の集成なのである。
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わたしはロボット (創元SF文庫)価格: 672円 レビュー評価:5.0 レビュー数:7 若かりしアシモフがロボットをテーマにコミカルな短編を生み出した。技術者パウエルとドノバンがロボットの巻き起こす珍騒動を解決していくというのが連作の初期の形態である。話しのオチを切れよくまとめる手際が若々しい。「あの兎をつかまえろ」はそれだけで出来ているようなものだ。「嘘つき!」も発想はオチのおもしろさである。しかし、心を読むロボットを登場させたことで、アシモフワールドでは極めて重要な役割を果たすことになる。 |
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生命と非生命のあいだ (ハヤカワ文庫 NF 24 アシモフの科学エッセイ 4)価格: 840円 レビュー評価:4.0 レビュー数:2 本書が書かれたのは、1960年代の後半である。40年以上も昔に書かれた科学エッセイを、今読む価値があるのか、と思うかもしれない。ところが、アシモフが一流の書き手であるということもあるが、当時の科学観を知ることができるという点において、本書は大変面白かった。
本書には、アシモフによる未来予想図が描かれている。興味深いのは、それが、ほとんど全く当たっていないことである。曰く、1980年ないし85年には、月面に恒久的な基地が建設されている。1985年には宇宙飛行士が火星に着陸し、95年には火星にも基地が出現する。2000年までには、人類は、水星や金星、小惑星セレスにまでも |
永遠の終り (ハヤカワ文庫 SF 269)価格: 672円 レビュー評価:4.5 レビュー数:5 半世紀も前に書かれたものなのに古さを全く感じない作品です。482世紀だとか10万世紀といった、とてつもなく遠い未来や永遠という特殊な世界を想定した、時間がテーマのSFに一人の女性を得ようとするロマンスを盛り込んでいて、読みごたえがあります。 |
はだかの太陽 (ハヤカワ文庫 SF 558)価格: 714円 レビュー評価:4.5 レビュー数:6 ベイリ&ダニイルもののSFミステリ。舞台はソラリアという遊星。ソラリア人は他人との接触を極端に嫌い、三次元映像でコミュニケーションを取る。そこで、死体とロボットだけが残された殺人事件が起こる。ロボット三原則によって、ロボットは犯人ではあり得ない。それでは犯人は ?
殺人事件の方は底が浅いので謎解きは難しくないが、ソラリア人の特質を活かした"解決法"は笑わせてくれる。それより本作がインパクトを持つのはその風刺性である。ソラリア人のコミュニケーションの取り方は現代の日本に似ているではないか。ソラリアにおけるソラリア人とロボットとの関係は容易に旧宗主国と植民地の関係を想起 |
アシモフの科学エッセイ〈12〉真空の海に帆をあげて (ハヤカワ文庫NF)価格: 714円 レビュー評価:4.0 レビュー数:1 今回はアメリカの航空会社の機内誌に掲載された未来予測の科学エッセイ72編が収録されている。博士のエッセイはとりとめのないエピソードから始まり読者の気持ちをつかんでから本編に話を持っていくのが常であるが、今回は1編が短い関係上すぐに主題から入っていく手法をとっている。内容は短くそして予測であるためいつものような快刀乱麻を断つ様にはいかず、中には助走で終わっている様な感じのものもある。しかしながら短い故に読みやすいともいえるのでちょっとした暇つぶしにおすすめである。珠玉の科学エッセイシリーズ第12弾! |
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アジモフ博士の 宇宙の誕生 (現代教養文庫 (1146))価格: 448円 レビュー評価:5.0 レビュー数:1 お馴染みのアジモフ博士の科学エッセイ集。本書は本来1冊で出版された「Counting the Eons」を日本で出版するに当たり2冊に分けたものである。表題の「宇宙の誕生」では天文で観測されたデータから逆算して宇宙の誕生の時期を推測する。その他のエッセイでは主に素粒子の問題を取扱う。本書の最も重要なところは、博士の天敵である12歳の少年が活躍するところである。 |
過去カラ来タ未来価格: 1,890円 レビュー評価:5.0 レビュー数:1 19世紀末にフランスの商業美術家によって些細な目的のために描かれて、その後お蔵入りとなった50枚のカードが、あのアイザック・アシモフによって発見され、なんと日の目を見ることになった。 百年前に百年後の、つまり現在の生活を空想して描かれたものであるから、ほころびだらけなのは当然だが、ご丁寧にもアシモフはその一枚一枚に注をつけ、小ばかにしたりちょっと褒めたりしている。 私の目をもっとも惹いたイラストは"a Hydroplane"と題された船のものである。なんとそれは現在のホバークラフトそのものではないか。さすがのアシモフも最初は、これは水上飛行艇の類ではないかと書いている。その |
アシモフの科学エッセイ〈9〉未知のX (ハヤカワ文庫NF)価格: 591円 レビュー評価:5.0 レビュー数:1 今回は電磁スペクトルから化学、天文学から古代世界の世界観を扱っている。化学では博士の持論である有名な珪素生物の可能性を論じ、天文学ではハレー彗星が地球に及ぼした影響を疑似科学である占星術の手法を持って皮肉ってみせる。今回もウイットに富んだ口調で、わかりやすい論旨を展開する。博士お得意の科学と歴史を融合させた、まさに脱帽の科学エッセイシリーズ第9弾! |